2010/06/29
進むか、戻るか? それとも?
アウトドアでの心理変化を利用して意識改革による組織V字回復を行う自社においてもはや「会社行事」に近い存在になってきているアドベンチャーレース。
6月は福島の尾瀬近郊が戦場だ。この大会はレースそのものよりも、舞台となる桧枝岐村そのものとの交流と地域活性化的目的が強いため、他地域や他のレースよりも雰囲気が異なるのが特徴。
昨年は旅館のおばあちゃんがチェックポイントだったり、台詞を暗記して瞬間歌舞伎を演じたりと目を吊り上げて挑むガリガリの競技と言うより『大人の運動会』のような雰囲気で楽しめる。そして何より、レース後は村の商工会議所主催でBBQ大会が催され、チームだけでなく村人との交流も温泉も味わえるという素晴らしいおまけ付きだ。
しかし、そんなノホホンとした会場設定とは裏腹に、レース自体は参戦チームの上位半分が『地獄』を見ることになる。
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自チームは若手エースが故障で出場を断念したため、僕とビギナー女性メンバー2人という構成に。当初は順位を気にせず楽しむことを目的にFUN参加予定だったが、知り合いのレーサーもたくさん出場していたため、僕は無意識に戦闘モード。
スタート直前まで降り続いた雨は奇跡的に止み、気持いいスタート。
CP1からCP6まではトレッキング&トレイルランニングセクション。足元は少しぬかるむが47チーム中12位で通過。村の人との交流的セクションと岩魚掴みセクションを楽しく終えて15位で、後半のMTBセクションへ。CP13~18まで構成されるMTBの前半はさほどきつくなく女性メンバーも心からレース展開を愉しんでいた -CP16までは。
CP16から山の中に入る。コンパスと高度計で地図を読むと、山の中へと言っても道がない。実際、ケモノ道すら存在しないところをMTBを持ってCP18まで到達しゴールへ向かわなくてはならない。
いわゆる『藪こぎ』である …しかもMTBを担いで。
CP17はまだ良かったが、CP18は標高差にして100M も上にあるし指示書には藪斜面を登れとある。藪斜面と言っても平坦ではなく、生身の体一つで登るにしても雨あがり後のぬかるむ足元では難しい。それをMTBを担いで上がるのだ。
しかし背丈以上ある藪に行く手を阻まれるだけでなく、木々がMTBに引っかかり前に進めない。しかも自チームはかよわい女性が2名。男性の僕でさえも苦しいの「MTB担ぎ藪登り」は女性にとってはさらに困難を極める。最終的には僕が自分のMTBを上方に上げてから下に戻り、女性のMTBを再び担ぎあげる。女性2名で1台を引っ張りあげる。
その繰り返しが延々と続く。
食料は底をつき水も切れ始める。ウエアはドロドロ、スパッツはボロボロ。息は切れ切れで体力の限界。これまで
数多くのレースに参加してきたが、部分的ではあるが、ここまできついセクションは初体験。
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戻るか… いや、最終CPまで来てリタイアはしたくない。
VS
進むか… いや、体力も気力も水も食料も限界。
もう正直どっちも嫌だ -しかし女性2名の前ではそんなことは言えない。逃げ出したくとも、逃げ出すところがない。リタイアしたくても山岳救助隊がヘリで釣り上げて運んでくれるわけでもない。いっそのこと集団遭難するか??葛藤に続く葛藤。ある意味、究極の選択。
結局、どんなに辛くてもしんどくても前に進むしかない選択肢。自分が選んだからには、進むべし。
残酷なまでの体力消耗と朦朧とする意識の中で、なんだか経営と一緒だ…とフと思う。
そう、人生はすべて前に進む以外ないのだ。だったらトコトンやるまでだ。